「マリア様がみてる パラソルをさして」 今野緒雪 (コバルト文庫)

シリーズ11冊目。前巻の第3話「レイニーブルー」の続き。久しぶりに1冊通して祐巳に視点が固定された作品。

追い詰められて、どん底にまで落ち込んでしまった祐巳が、周りの人たちの助けや言葉ですこーしずつ癒され、そして立ち直っていく様。
祥子と祐巳のすれ違いをメインストリームとしながらも、脇筋をしっかり固めて丁寧にお話を描きこんでるのがとても良い。
由乃の言葉に思わず泣きそうになり、青田先生の言葉に「マリア様がみてる」以前の祐巳を想像してみたり、
一瞬眩暈を起こしそうなくらいの良い描写があったりと、もう大満足。マリみてのベストはこれでいいですよ。
惜しむらくは、「レイニーブルー」と一緒にまとめられていれば完成度最高の1冊になったろうにということくらい。

偏愛している蔦子さんを除けば、わたしはやはり祐巳が1番好きだなあ。
瞳子との距離の取り方なんて舌を巻く。祐巳瞳子にちょっかいかけてるシーンは頬がゆるむのを押さえられませなんだ。