「バッカーノ! 1931 鈍行編」 成田良悟 (電撃文庫)

大陸横断鉄道・フライング・プッシーフット号にテロリスト集団と殺人狂集団とギャングが乗り合わせた。そして始まる、クレイジーな殺し合いの一夜。

3つの集団それぞれの思惑入り乱れる大乱戦という展開自体はかなり面白いのだけど、
大量に投入されたキャラクタの手綱を操るのに作者が手一杯になってる感があって、
各キャラクタの描き方や対決場面の描写がなんとも物足りないことになっているのが残念。
(もっとも主役に近い扱いの)ジャグジーや彼に付き従うニースのエピソードはもっと欲しいところだし、
冒頭から出てくるキャラよりも正体不明の謎キャラが乱戦の命運を担ってしまうあたりも結構不満だったりして。
それと、折角”限定空間”の中での騒動なんだから、列車の見取り図くらいは作ってほしかったなあ。
誰がどこにいて、どう動いていて、各車輛がどういう状況になっているのか? を明確にすることで物語がもっとスリリングになったような気がするんだけど。
あと、前作から引き続き登場の最強バカップル・アイザック&ミリアの言動&活躍はとても良かった。

今作の姉妹編として「バッカーノ! 1931 特急編」というのがあるらしく、
そちらに丸投げした伏線や謎もあったりするので、特急編を読むまでは評価は保留。