「騎士の盃」 カーター・ディクスン (ハヤカワ文庫)

館の主人が眠る部屋で、金庫が開けられ家宝の盃が動かされていた。
犯人は密室の中にどうやって出入りしたのか? それと、なぜ盃は盗まれなかったのか? HM卿最後の事件。

かなりの喜劇色の濃い作品になっていて、非常にわたし好みでありました。
読んでる間、何度も吹き出したり声を上げて笑ったりしちゃいましたよ。
HM卿の愉快な人格は以前読んだカー作品でも結構目についてたのだけど、
マスターズとの罵倒合戦やトミーやミス・チーズマンに対しての所業が面白過ぎる。
今作はさらにHMに負けず劣らずクセの強いキャラクタが何人も出て来て、喜劇色はさらに倍増。
各人それぞれ好き勝手なことを言いまくってくれる会話場面の面白さといったら、
ミステリ的な展開が中盤まで一向に進まないのが全然気にならないほど。
後半はさらにキチガイじみたバカ騒ぎに発展しちゃいます。いやあ、笑ったわらった。

密室ネタは腰砕けもので、本格ミステリとしては軽め。
なので、カー好きとか本格ヲタの間ではさほど話題にはならない作品かもしれませんが、
この前読んだ「パンチとジュディ」(id:kirisakineko:20040401)同様、ユーモア・ミステリ好きなら結構楽しめる一品だと思うので、わたし的にはお薦め。