「王国神話 空から降る天使の夢」 明日香々一 (富士見ファンタジア文庫)

第15回富士見ファンタジア長編小説大賞、最終選考作。

異世界からやってきた少女とそれを拾った王子様。おとぎ話じみた、世界と神様と少女の物語。
わー、なんて正統派なファンタジー作品なんだ。
まっすぐなキャラクタ達にこれまた奇をてらうこともないまっすぐなお話で、
読んでいて10代前半の頃のただ素直に物語を楽しんでいたピュアな気持ちがふと蘇ってくる。
微笑ましいようなちょっぴり恥ずかしいような、そんな気持ちにさせてくれました。たまにはこういうのもいいなあ。
オルフィナが初めてドレスアップして宴に出てくるシーンでのディオンとのやりとりとか、かわいらしくてよいよい。
終盤で作者の技術的な拙さが目についてしまうってのはあるのだけど、最後はあれでいいんじゃないかな。
少しばかりつっこみたくなるオルフィナの行動もエピローグでうまくまとめてあったし。

あと、主人公の幼なじみがスティンという愛称で初恋がどうのこうのというネタは、
冴木忍「道士リジィオ」に対してのリスペクトですかの。まんまなので吹いてしまいました。