上月雨音 「SHI-NO 支倉志乃の敗北」 (富士見ミステリー文庫)

画家のアトリエに招待された”僕”と志乃ちゃんが巻き込まれた殺人。
九瑠夜明日が描く”死のモチーフ”。赤色に染まった部屋。事件の真相は…!?
 支倉志乃と”僕”の関係──特に志乃ちゃんの方の心境に大きな変化があったご様子。
志乃ちゃんが見せる”らしくない”姿の数々が可愛らしくてよかったなあ。デレ期突入したかも?
…彼を失いたくないという思い/恐怖。
それは支倉志乃がこちら側に踏み止まるために必要なものなのか、あるいは涼風真白の言うように破滅への火種となるのか。
 サブタイトルからわかるように、今回のミステリのテーマは《探偵の敗北》。
といっても、事件を解き明かすことより身の安全を優先した結果の敗北(犯人サイドの思惑通りに決着したという点で)なので、そのへんは若干消化不良気味かなと思わなくもない。