豊島ミホ 「日傘のお兄さん」 (新潮文庫)

幼い頃に毎日遊んでくれたお兄さんが、中学生になった夏実の前に現れた。
再会に喜ぶ夏実だが、お兄さんは”日傘おとこ”としてネットで噂されはじめていて…。
 表題作のほか短篇三作を収録。
”青年と少女の逃避行”ものということで思わず手にとってしまった一作なんだけど、うわー、これは良すぎるー。
語り手の少女がもう可愛くて仕方ねえ。
好きだったお兄さんと数年ぶりに再会して、とても嬉しかったのに、彼はロリコンの不審者として追われているという。
お兄さんが何を思っているのか世間的にどうなのかは横にさておき、とにかく自分の気持ちを信じてお兄さんの手をとる夏実がホント素晴らしい。
こんな娘だから、なっちゃんがいたから宗助くんも……なんだろうな。
ちょっとおかしくて、胸キュンで、切ない気分も味わえて、最後は爽やかな気分で読み終えられる極上の少女小説でありました。
他の話も良かったよ。

日傘のお兄さん (新潮文庫)

日傘のお兄さん (新潮文庫)