木ノ歌詠 「幽霊列車とこんぺい糖」 (富士見ミステリー文庫)

自殺をしようと駅まで行ったら、そこはすでに廃線になってしまっていて…。
海幸とリガヤ、理由ありな二人の少女が出逢った、ひまわりの咲く夏。
 単著としては「熾天使たちの5分後」以来、二年ぶりのお目見え。
「〜5分後」は雑誌掲載の短篇がいくつかあるんだけど、これだけ間が空いちゃうと文庫収録はなさそうね。
 近隣の街に通じる唯一のローカル線ですら廃線になってしまった片田舎。
母親との関係に鬱屈を抱える有賀海幸。失った絆と悲しい過去に囚われ続けるリガヤ。
こんぺい糖、廃線、幽霊列車、石窯、花嫁衣装といった小道具の数々が、死を見つめる少女の物語をより印象深いものにする。
抱える闇を互いにぶつけ合った二人が手に手をとりあって向かう先は…。
2つのキスシーン(特に最後の)に思わず身震いさせられる、切なくも美しい物語でありました。
こういう作品をたまに出してくれる富士見ミステリー文庫がぼかー大好きです。
それにしても、木ノ歌さん、デビュー作*1の頃と比べて構成力と表現力が格段に向上しましたなあ。

幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ (富士見ミステリー文庫)

幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ (富士見ミステリー文庫)

*1:「カラっぽの僕に、君はうたう。」