うえお久光 「悪魔のミカタ666 スコルピオン・オープニング」 (電撃文庫)

Itから溢れ出す力によって”発情”状態に追い込まれた堂島コウ。女の子を目にするたび内に湧き上がる欲望に翻弄され…。一方、イハナらは魔王ベルゼバブからIt─知恵の実の秘密を伝えられていた。
 事件らしい事件は特に無く、事態の新たな局面とそれぞれの決意を1冊かけて描く。
発情したコウの様子や知恵の実を生み出すためにイヴ候補はエッチせねばならんのじゃーという流れからエロ・ラブコメ展開をほのめかしながらも、冬月日奈を生き返らせる──コウの願いを巡って各人が自らの立ち位置を定めることに筆が多く割かれているあたりがこのシリーズらしいなあ。
イハナの”大人になろう”という思い。その後のちょっとした変化がまた微笑ましいこと。
真嶋綾のはっきりとした立ち位置とそこからくる強さも印象深い。
これまではどちらかというと頼りになる切り札的な存在であった恕宇が事態の変化にもっともついていけず戸惑うばかりなのも可愛らしいのう。
そして、洋平君。なるほど、そうだったのか…。
獣の数字666をタイトルに加え、ついに開幕した二学期編。どうなることやら。期待がふくらむなあ。