野村美月 「”文学少女”と死にたがりの道化」 （ファミ通文庫）

妖怪”文学少女”の遠子先輩のために三題噺を書く心葉くん。
２人のもとへ持ち込まれた恋愛相談はとある手記をめぐる事件を浮かび上がらせ…。
　各所での評判の高さに天邪鬼ぶりを発揮してなんとなーく敬遠していたら、
「意外にミステリ」だとオススメされてしまい、ラノベ・ミステリ愛好家としては読まねばなるまいと重い腰をあげてみた。
野村美月を読むのは「天使のベースボール」以来です。
ラブレターの代筆から始まった物語は二転三転、読み始めの雰囲気からは思いもよらぬシリアスでビターな方向へと…。
自らを人の心を解さない化け物だと、周囲にそれを知られることを恐れ、仮面を被り道化を演じ続ける孤独な魂。
起きてしまった悲劇。死にたがりの道化。語り手の心葉くんが抱える心の傷。
急速に重苦しくなっていく後半の展開にグッときた。
これは青春ミステリの佳作ですなっ。
ぶっちゃけ遠子先輩が人外のものである必要なくね？とか思わなくもないんだけど、
彼女のおかげで作品の口当たりがよくなってるのも確かだし、かわいいからそれで良し。
イラストとのマッチングも◎。

“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)