大山誠一郎 「仮面幻双曲」 (小学館)

双子の弟から兄への殺人予告。そして、事件は起こった…。
 本格ミステリの肝は複雑怪奇なプロットにあり! キャラクタやストーリーなんてものはしょせん飾りなのだよ、か・ざ・り。
…と言わんばかりにストイックな本格ミステリの逸品。
なんだか前作「アルファベット・パズラーズ」よりもさらにエンターテインメント度が下がって、本格好き以外には受けなさそうな作品になってるような。
双子ネタで犯人はその弟だと序盤から再三指摘し、そのうえで読者をどうたばかるのか。
そのとある事項が明かされた瞬間、驚くというよりもぽかーんとしちゃったよ。この方向は完全に想定外だったなあ。
そして、怒涛の展開をみせる解決編の鮮やかなことよ。
そこまで計算通りに状況をコントロール出来るものか?というのもなくはないんだけど、犯人の(”作者の”でもある)深謀遠慮には素直に凄えなあと感服するほかーありません。


仮面幻双曲 (小学館ミステリー21)

仮面幻双曲 (小学館ミステリー21)