「カーテンの陰の死」 ポール・アルテ (ハヤカワミステリ)

夜の街で殺人現場に出くわしてしまったマージョリー。しかも、殺人犯は同じ下宿に住むうちの誰かだった!?
住人の間で不穏な空気が漂う中、カーテンで仕切られた玄関で殺人事件が発生し…。

アルテの邦訳4作目にして、ツイスト博士シリーズの3冊目。
普段から何をしているのかわからない自称作家。過去を隠しているピアニスト。
住人のひとりが人殺しの目をしていると警察に訴えた老嬢…、等々、
うさんくさい住人を揃えてさあこの中に犯人がいますよーというフーダニット型ミステリ。
あー、今回もアルテらしい作品だなあ。
舞台設定と道具立ては相変わらずコテコテの古典ミステリ志向だし、
無駄を省いてさくさく読める長さのお話に仕上がってるあたりの魅力は今作も健在。
「カーテンの陰の死」のトリックは脱力もののしょうもないネタなんだけど、
過去の事件と現在の事件とのリンクのさせ方とか、もう1つの隠された事件の浮かび上がらせ方が面白かった。
特に遊び心でいれられた小ネタかと思ったアレの使い方にはびっくり。