「忍者月影抄」 山田風太郎 (河出文庫)

将軍吉宗のかつての漁色を天下に晒さんとする尾張藩主の企みを阻止するため、
公儀お庭番・伊賀七人衆と江戸柳生の刺客たちに出動の命がくだった。
対するは尾張御土居下組・甲賀七人衆と尾張柳生。

いつもの忍法大決戦のほかに柳生新陰流の登場もあって、今作は(7+7)vs(7+7) という図式。
忍法と剣の入り乱れる戦いが……とはいうものの、剣法者の連中は特にこれといった技をもっているわけではないためか、
忍者のかませ犬扱いになっていて、誰も彼もいまいち印象が薄い。
中盤にある”忍法赤不動”と”忍法薄氷・忍法波千鳥”の対決、炎と冷気を操る忍者同士の戦いはシチュエーション的に凄く燃えるものがあったのに、
やけにあっさり決着してしまうのがちょっと残念。
最期を飾る忍法夢若衆と忍法鏡地獄が妖しさ抜群で素晴らしかった。