「ロクメンダイス、」 中村九郎 (富士見ミステリー文庫)

心の病でカウンセラーや他の患者と”ロクメンダイス”で共同生活をおくる高校生・ハツ。
恋をしないと死んでしまうと告げられたハツの前に現れたのは、
恋をしてはいけない少女・チェリーだった…。

冒頭のあらすじだけだと普通のラブストーリーのように見えて、さにあらず。
心の病を持つ者同士の戦いと混沌と再生と恋の物語……と言えばいいのかなあ。要約して紹介するのが難しい。
最大の問題は序盤の文章。もう冒頭から何が書かれているのかさっぱり。
その表現にどんな意味があるのか、作者がどういう意図で文章を綴っているのかがまるで理解できなくて、落ち着かなくなってくる。
まあ、頑張って読み続けてれば、そのうちキャラと話の流れが掴めてきて何とかなりますが、序盤の意味不明ぶりからくる敷居の高さはかなりのもの。

心象世界の共有、心を守る存在の現実化、少女病・少年病というモチーフ…。
青臭さとセカイ系っぽい価値観のいりまじった作品世界と物語は、面白いともつまんなかったとも何とも言えない微妙なラインにあって判断に困る。
わたしはこれをSFだと思ったんだけど、どうかなあ。狭義のSFファンの人に聞いてみたいところ。
あと、ライトノベル界にあってもわりと独特な感性で描かれた話だなあという印象はあって、ひょっとしたらこれが次世代ニュータイプなのか…!? 怖いにゃー。