「昆虫探偵 シロコパκ氏の華麗なる推理」 鳥飼否宇 (光文社文庫)

目が覚めると、葉古小吉はゴキブリになっていた。
クマバチ探偵・シロコパκ氏の助手となったペリプラ葉古(元ニンゲン、現ヤマトゴキブリ)。
彼らは昆虫世界での複雑怪奇な難事件の謎と推理に挑む。

全部で7話あって、うち「ジョロウグモの拘」が文庫書き下ろし。
昆虫薀蓄にへぇ〜っと感心したり、本格ミステリマニアの主人公が振るネタに笑ったり、
昆虫世界の怪論理を面白がってるうちに読了。
わーい、すんげー楽しかった。
痴情のもつれが動機だといった人間世界の論理は昆虫世界には当てはまらない
なんて言いつつも「ジョロウグモの拘」で展開される怪論理は結構グレーな気がするけど面白いからいいかー、みたいな。
収録されてる中ではもっともパズル的な謎と解答になっている「哲学虫の密室」に感心。
あとは、擬態テーマを扱った「生けるアカハネの死」の衒学趣味的なところが素晴らしいですね。
これがあの怪作「擬態」(「本格的 死人と狂人たち」に収録)につながっていったんだろうなあ。