「ギブソン」 藤岡真 (東京創元社)

ゴルフに向かう高城を自宅まで迎えにいった日下部。
だが、30分前に家を出たという高城は待ち合わせには現れず、忽然と姿を消してしまった。
日下部は失踪した上司を捜し始めるのだが…。

藤岡真って新鋭?というつっこみはさておくとして、ミステリ・フロンティアの1冊ざます。
目撃情報を集めるうちに次々とあらわれてくる謎。それらがどうつながっていくのか、あるいは無関係なのか。
何か仕掛けられてそうな雰囲気にわざわざメモを取りつつ読んだのに、結果的にはまったく無意味。明かされてみると結構単純なネタなのに、まんまとそこから目をそらされちゃいましたよ。
読み手を惑わせるために、本筋には関係しないネタをいかにも重要そうに見せかける手はミステリではよくあるのだけど、
本作の評価ポイントはそのへんの手さばきにありそう。
真相やトリックで驚くというよりは、そうきたか!と唸るタイプの作品ですね。
書き手によっては悪意にまみれたヤな話になりそうなのを、さらっと読めるミステリに仕上げてるのもいいんじゃないかと。