「夏祭りに妖狐は踊れ」 飛田甲 (ファミ通文庫)

狐の呪いを示唆するチェーンメールが流行りだし、それに関わった人の間で狐面の巫女が目撃される。
4年ぶりにおこなわれる鎮守祭、あるいは過去の伝説に何らかの理由があるのだろうか?
「幽霊には微笑を、生者には花束を」のシリーズ続編。

狐の幻についての謎に未来視の謎を加え、民俗ミステリ風味で和えて、SF因果律で仕上げてみましたという感じの作品。
前作ほどパズル的ではないものの、オカルト展開やSF設定を全部ひっくるめて”理”で落としていく姿勢は今作も共通していて、面白かった。
未来視についても理由付けしてくるとは思わなかったなあ。
ライトノベルとしては相変わらず地味な作風なんだけど、堅実で穏やかな学園青春ものといった趣がとても素晴らしい。
前作とは立ち位置が変わってしまったことで、真也との距離が離れちゃったなあ…なんて思い悩む優希ちゃんが読んでてくすぐったい。絵師の人の交替でビジュアルイメージが変わったこともあって、優希がより普通のおとなしい女の子っぽくなったというか、かわいくなったなあ。
真也くんの真面目すぎる堅苦しさも微笑ましいこと。良作、良作。

前作感想→http://www.geocities.jp/kirisakineko/moetan02.htm