「赤い鎧戸のかげで」 カーター・ディクスン (ハヤカワ文庫HM)

北アフリカのタンジールに休暇を過ごしにやって来たH・M卿。
お忍び旅行のはずだったのに、飛行機を降りるとなぜか大歓迎のお祭り騒ぎ。
ヨーロッパを騒がせる泥棒アイアン・チェストと警察+H・Mの戦いの行方やいかに。

へー、カーもこんな泥棒vs警察なんて作品を書いてたのかー。
冒頭からいきなりバカ騒ぎしていて笑える。H・M相手にそんなご大層なお出迎えをするのか、うははは。
うわあ、ノリノリだよ、このオヤジ。
中盤ではアラブ来訪記念コスプレまでしやがるし、H・Mの珍妙な所業好きとしては今作もニヤニヤできてよござんした。
若い奴らは奴らで、いちゃいちゃラブラブしたり、ワルと拳で語り合ったりと大忙しだなあ。
年寄りや悪党を相手に1歩も引かないアルヴァレスの意地っ張りなところがなかなか魅力的。
ということで、まあまあ楽しんで読めはしたものの、残念ながら本格ミステリとしての魅力は無し。悪くはないけど、これまで読んだカー作品に比べるとちょっと落ちるかな。