「電波的な彼女 〜愚か者の選択〜」 片山憲太郎 (スーパーダッシュ文庫)

街中で会った迷子の少女が、後に”えぐり魔”の犠牲になったと知り、
責任を感じた柔沢ジュウは斬島雪姫とともに”えぐり魔”事件を追うことに。
子どもを誘拐し両眼をえぐるという猟奇事件。堕花雨はジュウに事件には関わらない方がいいと言う…。

電波的な彼女」シリーズ2作目で、前作に続きサイコ・サスペンス系のお話。
扱ってる事件が事件だけに読んでて気分が良くなるわけがなく、犯人像にはへどが出そうだし、事件の苦味にいたたまれない気持ちになる。
それでも、主人公・ジュウの心根の真っ直ぐさ、大人になりきれない純朴さが、救われない話にわずかに暖かみを与えてくれるのに少しだけホッとした。
周りを眺め、空を見上げ、足元を見つめては、自分の立ち位置を確認し、世界を把握していく。
ジュウのそういう姿を、雨や雪姫や他のキャラクタが見守るというのがこの作品のベースなのかなあ。
そのへんの青春ミステリーらしさは良い出来。
ジュウと雨の関係は前作からそう変化してはいないのだけど、雨の友人たち…雪姫(もう1人の電波)との出会いもあって、今後どうなっていくのか楽しみだなあ。お互いに相手の領域に踏みこんでいけるんだろうか。
あと、スイッチ切り替わった雪姫の喋り方がブギーポップそっくり。


前巻「電波的な彼女」感想↓ (萌える探偵小説・第9回)

http://www.geocities.jp/kirisakineko/moetan09.htm