「お庭番地球を回る 忍法帖短篇全集11」 山田風太郎 (ちくま文庫)

編集・解題:日下三蔵。解説:川出正樹。

これまでの短篇集と比較してエロス成分が薄めで、かつ異色なユーモア傑作「お庭番地球を回る」が収録されてるので、
エロ忍法に食傷気味な方にオススメな一冊。

「お庭番地球を回る」 江戸時代の開国直後、アメリカに招待された使節団の中に元・お庭番がいて…という話。
江戸の侍たちが異国を旅する珍道中がすこぶる面白い。
道中は主に使節団に同行したアメリカ人の視点で語られるのだけど、
彼が「OH、ニンジア、オニワーヴァン!」といちいち感嘆したりするたびに、ぶっと噴き出してしまった。
村垣淡路守やショック大尉の心あたたまるキャラクタぶりが良い。

「怪談厠鬼」 あはは、それは怖いかも。

「さまよえる忍者」 人格憑依型の忍法を扱った話。ラストで、そうかこれってあの型の話だったのかーとふにおちる。

「読淫術」 これはいつものパターン。

「忍法死のうは一定」 果心居士は嫌いなんだよな。

「怪異二挺根銃」 津軽と南部の争いに題をとった傑作短篇「大いなる伊賀者」ともつながる話。こっちはわりとバカな話。なぜかラストが笑えるものになってしまってる。