「ブラインド・エスケープ」 樹川さとみ (富士見ミステリー文庫)

女子高生・青野由貴は学校帰りに同年代の男子・高嶋に誘拐されてしまう。
2人の命を狙う刺客。警察の包囲網。ギリギリの逃避行。
「オレがお前を守る」 高嶋の言葉に、由貴は…。

最初から説明不足な状況のまま話が転がりはじめるし、事件の背景はすんごい理不尽なものだし、展開もツッコミどころだらけなんだけど
とにかく強引にぐいぐい話をひっぱってくれるおかげで、勢いで最後まで読まされちゃった。
高嶋君は最後までカッコイイし、由貴はヒロインヒロインしてるし、
逃避行の中で芽生える気持ちだとか恥ずかしくてよござんす。
派手なアクションもあるし、サスペンス系の展開を見せつつも、根っこは少女小説という感じ。
そのへんは普段コバルトで書いてる作家さんらしいなあ。
無力なお嬢さんが緊急事態だからって急に強くなったりはしなくてあくまで守られる存在のまま、
というヒロイズムの描き方は最近のライトノベルでは少ないかも。

それと、藤田香の絵は素晴らしいですよう。挿絵の女の子度はちょっと低めですがの。