「吉永さん家のガーゴイル 6」 田口仙年堂 (ファミ通文庫)

新入生勧誘を兼ねた演劇部の舞台に、和己の拾った台本がかけられることになった。なぜか和己もそれに出演することに。
ところが、演劇部に脅迫状が届けられる。
レ・ミゼラブル」を基調としたその台本は、8年前に起きた生徒の墜死事件を告発したものだというのだ…。

今回は和己くんの主役話で演劇部を扱ったエピソードでかつ青春ミステリーな風味も備えた傑作。
たぶん、これまでのシリーズ中で最高の出来。
舞台に向けて熱を上げる演劇部の面々。彼らを見守り、近づこうとして、時に叱咤激励をする和己くん。うむ、良い良い。
作者さんがもともと演劇な人なのもあってか、そのへん凄く楽しそうに描かれてるのが素晴らしい。
そして、過去の悲しい出来事の真相とそれに関わった人たちの心の傷を語り、そのすべてを温かく包みこんでくれる展開。
だー、ツボをつくのが上手すぎるぞ! 田口仙年堂。「今度は…」の台詞でわしマジ泣きだ。
今の楽しい雰囲気と悲しい過去とを綺麗に1つの物語にまとめあげ、最後はあくまで爽やかに幕を閉じる。感動作といってもいい。
ほんと良シリーズだなあ。

それにしても、これでシリーズ6冊中3冊で泣かされちゃったよう。撃破率50%って一体なんですか。もう。