「生贄を抱く夜 神麻嗣子の超能力事件簿」 西澤保彦 (講談社ノベルス)

超能力による犯罪とその解明を描いたおなじみ「チョーモンイン」シリーズ第7作。短編集としては4冊目。

 ・「一本気心中」 今回いつものノリで読めるたった1つのお話。保科さんの飛躍した解釈が冴える。

 ・「もつれて消える」 なんだか森奈津子テイストな一品。ホント西澤さんってばモリナツ好きなんだなあ。

 ・「殺し合い」 最悪。読後感があまりにも最低で、一瞬本をどこかに叩きつけたくなりました。
これまで本になった西澤作品は全部読んでいるけれど、ここまで底意地の悪い作品はない。こんなの大嫌いだ。あー、ムカムカする。

 ・「生贄を抱く夜」 某西澤さん長編と比べて、能力に制約が全然ないんですね。便利だなあ。

 ・「動く刺青」 中年オヤジのスケベ心にはいやーんな感じもあるのだけど、なかなか面白い。

 ・「共喰い」 無茶苦茶。

 ・「情熱と無駄のあいだ」 わはははは、これ最高。そうだよ、ぼくらはこんなチョーモンインがもっと読みたいんだっ。
香保里さんの半生と情熱がなんとも面白おかしくて、神麻さんは久しぶりに愉快な一面を見せてくれてるしで、とても楽しく読ませてもらいました。
最悪の一篇をこのお話が帳消しにしてくれたという印象。収録順が逆でなくて良かった。