「殺意のシナリオ」 J・F・バーディン (小学館)

フィリップの机の上に置かれていたタイプ原稿。
「告白」と題されたそれは、彼自身が妻を裏切った夜の経緯が書かれたものだった。
その夜、原稿と似たような出来事がおこり、フィリップは混乱する。
はたして原稿は予言だったのか? 書いたのは一体誰? …それとも、自分が書いたのに忘れているのだろうか?

愛憎渦巻くメロドラマ風・人間関係がいやーんなお話。
メインキャラのフィリップ君がアルコール中毒で心の病になりかかっているおかげで、読者としても何を信用していいのか不安感が煽られる展開がうへー。
事件らしい事件は起きないまま終盤になり、謎の原稿をめぐる告発シーンが始まるとあとは一気呵成。
そこからの本格ミステリ展開はとても面白い。
でも、それまでが全部前フリかと思うと、スロースタートにも程があるとツッコミたくなりますにゃ。
ちょっと変わった構成の、本格要素有りサスペンスということでよろしいかと。