「復活の地 III」 小川一水 (ハヤカワ文庫JA)

迫り来る第二次帝都震災。人々はそれに立ち向かうことが出来るのか。シリーズ完結編。

広げた風呂敷をきちんとたたんでるという点にまず満足。
キャラクタ個々にじゅうぶんなエピソードが与えられたとは言い難いし、
サイテンやグレイハンら憎まれ役の扱いに少々不満もあるものの、
再びやって来る震災に対し必死に立ち向かう人と都市の姿を描いていく後半部分は静かな感動を呼び起こしてくれた。
一度犯した過ち、過去の傷と経験を糧に、災害と戦うための下地を作り組織を作り、
数人の英雄的存在の力によってではなくあくまで一人一人の市民が”自分たちの街を、生活を守るために”出来ることを行う。隣人を救う。
この作品は市民と都市の成長物語でもあったんだなあ…。