「ROOM NO.1301 #3 同居人はロマンティック?」 新井輝 (富士見ミステリー文庫)

絹川健一は(一応、彼女という名目の)千夜子たちと夏休みに海に行く予定をたてていた。
一方、13階の住人たちとの生活も続いている。新たに知る綾の一面。冴子との肉体関係。姉・蛍子とのすれ違い。
僕は恋愛に向いていない──シリーズ第三弾。

キャラクタ配置や流れだけ見れば女の子いっぱいのハーレム作品ってな話なのに、単純にそうとは言えないこの微妙な魅力にはまってきた感。
前巻までは、健一が出会う女の子とことごとくHをしちゃうぞなもしーな展開を茶化してただけな感じがあったのに、三巻読了後の今は普通に話の先が気になってますよ。
健一と千夜子の初々しい関係とか、その横でやたら健一の背中を押したがるツバメの言動・行動なんかは普通にラブコメとして楽しめるし、
前巻のエピローグを読んでいるぼくら読者としては、蛍子の言動の裏にある想いが非常に痛々しく胸に迫ってくるのでありますよ。
一方では、冴子に情をよせはじめる健一の心情だとか、綾の孤独さも描かれたりしてて、
13階の住人たちにもフラグがたちはじめてるし、いったい誰に感情移入すればよいものやら。
しかも、彼ら彼女らの行く末はすでに決着していることがわかっているだけに、
より切なさとか刹那さを感じてしまう部分があるわけで……。
エピローグ、ああー、どうするのさー、こんな展開。