「超短編 雲上四季 雪」 秋山真琴
秋山真琴氏(id:sinden)による十四篇と五人のゲストによる寄稿を加えた短編集。
ちゃんとオチのあるものから無いものまで、ふと思いついたシチュエーションや反転の構図を書き記してみたというお話の断片たち。
こういうパーツをいくつも作って匣の中にしまっておけば、後々それを引っ張り出して長編の中に組みこんだり、
あるいはネタをふくらませてもう少しまとまった形の短篇に仕上げられるのかもしれない。
そのまま匣の片隅で埃をかぶってしまうものもあるんだろう。いずれにせよ、これだけではまだ欠片のままでしかないとわたしは思うのだけれど。
「雪」----最初と最後を飾る締めの二行がカッコイイ。
「時の卵」----これは卵が”男が生まれてきた過去”を暗示してるという解釈でいいの?
「匣の中の匣」----モニタで読まないと意味ないじゃーんと野暮ツッコミ。
「もえかん(仮)」にて踝さんがトリビュートした作品。
「暗殺劇」----しまった。秋山さんに「それゆけ!薔薇姫さま」を無理矢理おしつけておくんだったー(マテ。
「G線上のアリア」----「キノの旅」パスティーシュにできそうなネタ。
「蒼き旅人」----これは素晴らしい。収録作中ベスト。
「黒の一滴」----説得力のある詭弁。
特に個別コメントはつけないけれど、ゲスト作品の幻想風味はへーと思いながら読んだし、
中盤の現代ものもクスっとくるものはありました。
好きなのは「蒼き旅人」「暗殺劇」「匣の中の匣」あたり。