「永遠の館の殺人」 黒田研二&二階堂黎人 (カッパノベルス)

雪山で遭難した主人公とその彼女は山奥にある屋敷に辿りつく。吹雪の山荘、怪しげな住人、そこにまぎれこんだシリアルキラー…。
黒田研二二階堂黎人の合作による「Killer X」シリーズ3作目にして完結編。

シリーズ前作「千年岳の殺人鬼」と同様、途中にはさまれる猟奇殺人のパートが非常にうっとおしい。
前作と今作を通すことである1つの構図が浮かび上がってくるようになっていて、なるほどそんな企みがあったんか…と納得はするのだけれど、
この猟奇殺人のおかげで作品全体の印象が悪くなってることは否めないし、正直言って、やっぱいらない。

さて、本筋の”吹雪の山荘”ミステリの方はと言えば…、うむうむ、なかなか面白かったざんす。
最初の殺人が発生してからの展開はもう一気呵成。一体何がどうなっているのか予想する暇もなく、死人が出ては消え、新たな謎を呼びこみ、崩壊のラストへと。
結構無茶なことやってるので、壁に投げつける人もいそうな気がするものの、そのぶん容易には悟れない真相になってます。
意外性のあるオチは、感心半分・呆れ半分といったところかなあ。それと、館パートのラストにはちょっと震えました。

黒田作品のトリッキーな技が好きな人ならそれなりに楽しめると思うので、未読の人はシリーズ前作「千年岳の殺人鬼」から読むとよろしいかと。
ちなみに、クイーン兄弟名義での「Killer X」はリッパーさんの非おすすめナンバーワン作品であります。
本を引き裂いてやりたくなるほど大嫌いな作品なのであしからず。間違っても読んじゃいけません。