「春恋。」 朝丘戻。 (コバルト文庫)

家庭教師の男に恋してしまった少年の物語。
最初は弄ばれていただけだった美里のアキへの想いは、やがて…。

むー、どういう風に感想を書けば、BL未体験の人や好きで読んでる人にわたしの感じたことが伝わるのかなあ。
とにかく、すげえ良かった。
美里君の想いと彼を待ち受ける状況のせつなさが胸に痛くて、そこに描き出される物語の、あまりのキレイさにただ圧倒されてしまった。

最初はなんだこの口悪いクソガキと嫌な性格の男は…と思いながら読んでいたのに、
いつの間にやら世界の中に引きずりこまれ、美里君に感情移入してしまってました。
ほんの一瞬の喜びとその先に待ち受ける絶望。それでもどうしようもなくアキが好きで、だから辛くて。
葛藤を繰り返しながらも一途に想い続ける美里君。
丁寧に描かれるその姿に、ボーイズラブなんて…と少しばかり残っていたわたしの偏見は砂塵と崩れさりました。
第三章「秋望。」ラスト3ページの震えがくるほどのせつなさ。「冬忘。」の透明さ。「四季彩画。」にて終着する物語。
読みながら途中何度も涙ぐんでしまいました。ラストの締め方にも感動。

ライトノベル系でシリアスな恋愛ものとかボーイミーツガールが好きという人は、読むといいと思います。
BL小説への躊躇とかにはとりあえず目をつむって、えいやっと。