「ふたりのシンデレラ」 鯨統一郎 (原書房)

「ふたりのシンデレラ」を演じる劇団の合宿中に、1人が殺され、1人は重傷で記憶喪失に、そして1人がいなくなった。
1人8役の大技炸裂!?なミステリ。

この系統の代表作(?)であるジャプリゾの「シンデレラの罠」は未読なので、先行作品への挑戦が上手くいってるのかどうかはよくわからないものの、
”1人8役”に関してはなるほどこういう手でくるのかーと納得。
前半の三人称記述と後半の一人称、それと主人公の記憶喪失を使って練り上げたトリックは凝ってて良いですな。
鯨にしては珍しく、ごく真面目にミステリに取り組んだというのが伺えるのは○。
ただ、キャラクタや話作りに関しては、やっぱり鯨という感じで平板でやや退屈。
濡れ場を多くしてつまらなさを誤魔化してる感はいただけない。さくさく読めるのはいいんだけどねえ。
あと、作中劇はわけわかりません。