「本格ミステリ04」 (講談社ノベルス) 感想メモ その1

横山秀夫「眼前の密室」…○。キャラクタや外枠は骨太でリアルな話のに、本格としてはこてこてともいえる密室トリックでびっくり。

柄刀一「イエローロード」…○。連作中の一編を抜き出しているようで、そのへんネタバレになってるんじゃないかというのが気になるのだけど、
感傷的な雰囲気と謎解きが終わって後の余韻は悪くない。

東川篤哉霧ヶ峰涼の屈辱」…◎。笑いをとるための野球ネタも含めて、最終的には全部伏線として回収してしまうもっていき方が素晴らしい。
メインのネタはたいしたことないんだけど、見せ方は上手い。
キャラや喜劇的なノリの面白さはじゅうぶん出ていて、東川ファンなら文句なく楽しめる出来。

高橋克彦「筆合戦」…△。あれとそれをつなぎ合わせてみたら…というタイプのミステリで、まあまあ面白い。

北森鴻「憑代忌」…×。これは駄目。長編内の1ネタか、閉鎖状況で扱うのならセーフだと思うんだけど。

松尾由美「走る目覚まし時計の問題」…◎。謎自体は小ネタなものの、”走る目覚まし時計”という発想の面白さに暖かみのある真相。素晴らしいじゃあないかあ。
これはシリーズ連作としても読みたいなあ。