「紅玉の火蜥蜴」 秋月涼介 (講談社ノベルス)

街を、人を、焼きつくさんとする紅蓮のゆらめき。炎に魅入られし者の狂気。
それを追う者たち。 「月長石の魔犬」に続くシリーズ2作目。

シリーズ2作目ってことで、前作のネタバレが前提になってます。
今回からギャル絵の表紙になったことで新たに興味惹かれたって人はそのへん要注意。
一応「月長石の魔犬」から読んだ方がいいと思います。
どうせなら、月長石もギャル絵表紙の新装版で同時発売とかすれば良かったのに。
ちなみに今回の表紙の女子は死にたがりの悠璃君(かな?)。
それと、今作は表紙だけじゃなく挿絵付き。やべー、眼鏡っ娘な冴葉たんが萌ーえーるー。

連続する放火と殺人がわりあい淡々と描かれていて、抑制のきき具合がいい感じ。
出てくるゲストキャラのほとんど全員が、火事やら焼身自殺で肉親をなくしているという設定がなんとも薄気味悪くて素敵。
内なる狂気を抱えた放火魔は、人の手足を縛って生きたまま火をかけるという残虐な殺人者はその中の一体誰なのか?
という展開で、本格仕立てとかフーダニットというほどではないのだけれど、わたしゃ楽しめました。
あんぽんたんだの盆暗だのヒドイ言われような冴葉たんの空回りっぷりが面白いのと、
消防士コンビのエピソードが良かったざんす。特に後者はラストであやうく感動しそうになっちゃいましたよ。