「ブルースター・シンフォニー(上)」 岩佐まもる (角川スニーカー文庫)

ケモノ耳や角などの獣徴をもつ種族が人口の多くをしめる惑星が舞台。
オーケストラの楽団員であるクキの元に、見知らぬ少女がやって来た。涙ぐみ「パパ」と呼んで抱きつく少女。
クキにはまったく心あたりがないのだが…。音楽をテーマに取りこんだSFファンタジー作品。

ライトノベルでオーケストラだとか音楽を描いた作品ってのは、わたしゃ初めて。
リハーサルの風景だとかコンサートの描写、楽団員たるキャラたちの立ち位置なんかは興味深い。
特に、音楽観を下敷きにしたサラとフヒトの論議の場面がとても面白かった。
世界設定の意図と音楽という主題をいかに物語の中でリンクさせていくのか。そのへん下巻でどうなるのかちょっと楽しみだなあ。
もう1つのテーマである”父と娘の絆”の方は掘り下げが足りなくて、いまいち心に響かず。もうちょっとクキ君と少女の交流や会話が欲しいところ。