「GOSICK II その罪は名もなき」 桜庭一樹 (富士見ミステリー文庫)

ヴィクトリカと九城一弥は、”灰色狼の村”として恐れられている山奥の集落に向かった。
20年前に起きた殺人事件の容疑者は果たして冤罪だったのか? そして、祭りの最中に殺人が…

前作同様、今回もなかなかの出来でかなり楽しめました。密室状況の真相だとか、現在パートでのトリックなんかは本格ミステリとしてはわりと初歩的なもの。
とはいっても、閉鎖的な暮らしを百年単位で続けてきた山奥の村という舞台設定、妖しげな登場人物、奇矯な(でも萌え萌えな)探偵、
不可解で不気味な小事件などなど、雰囲気作りはよく出来てるので、そういうミステリが好きなら楽しめるんじゃないかな。
犯人の描き方だとか、舞台設定と不可分な殺人動機が特に印象的でした。
探偵役であるヴィクトリカのパーソナルな部分との因縁づけとかもあって、シリーズとしての読みどころもあり。
もちろん、ヴィクトリカの萌え少女っぷりを楽しむもよし、彼女に降り回されたり守ったりと忙しい九城少年を微笑ましく見守るもよし。
古典ミステリを彷彿とさせるクラシカルな舞台設定とライトノベル的な楽しみがうまく組み合った良作だと思います。
「平井骸惚」で富士見ミステリー文庫を初めて読んだーってな人なんかにも、一度試してみて欲しいなあ。

あとは、えっと、武田日向さんの絵の良さもぜひ書いておかねばなりますまい。
絵柄の良さだけじゃなく、服のデザインや背景の描き込み・絵の構図どれも素晴らしい。
絵のおかげで、キャラの魅力は5割増し、ヴィクトリカたんの萌え度は10倍増だといっても過言ではなく。