「孤狼と月 フェンネル大陸 偽王伝」 高里椎奈 (講談社ノベルス)

獣兵師団を率いる姫将軍フェンベルクの物語。

しーなたんがメフィスト賞出でなければ、ホワイトハートかコバルトかってなくらい、すごーく普通のファンタジー小説
冒頭の戦争パートから王宮の話までは、フェンベルクかわいーという感じで楽しく読めたのだけど、投獄されるまでが急ぎ過ぎだと思った。
もうちょっとフェンの内面描写やら兄弟姉妹の関係やらを書きこんでくれれば盛り上がるだろうに、勿体無い。
というか、そこまでで1巻で良かったんじゃ?

中盤以降の展開はフェンの受難と再生のお話。ラストはなかなか無難なところに落ち着いてて、読後感は良かったざんす。
いままでまったく見えていなかった真実の1つを知ることで少女が成長していく。
ある男が抱えたジレンマ、隠されていた真実、少女の再生、が1つの線でつながってるのはなかなか良かったんじゃないかな。
さして上手い作品ではないけれど、王道ファンタジーと謳っていいくらいの面白さはあるかと。
ディーラー襲撃計画における”信頼”という言葉の使い方とか、テオというキャラのポジションなんかは、いかにもしーなたんっぽくて微笑ましい。
あと、サチというキャラが深山木秋とかぶりまくってるのは如何なものか。