「満月の長い夜 月光少女 アンティック・ナナ」 吉田縁 (富士見ミステリー文庫)

喋るアンティーク・ドールがいて、なんと満月の夜には人間の美少女にへんしーん。 主人公はその彼女・ナナのために”悲しみ”を狩らなきゃならないらしくて…
タイトルやあらすじからして、変なもの駄目なものを期待していたんだけど、良い意味で裏切られたなり。 意外といっては失礼か。面白かったでやんす。 ファンタジー要素をからめた再生の物語という趣で、ミステリっぽいところも若干あり。 終盤の展開にはちょっと胸をうつものがあった。ナナの設定と比べてお話の方は結構地に足がついてる感じ。 それと、近畿地方の田舎の漁村を舞台にしていて、登場キャラの多くが方言で喋っているのが味わい深い。 ラストに思い出したようにライトノベル的なラブコメチックな展開が用意してあって、いい感じで恥ずかしい。 おかげで読後感もすこぶる良かった。わりと満足かも。
あとがき読むとシリーズ化も検討されていたようなのに、続編は出てないのでありました。 うわーん、ちょっと好みの作品だったのにー。これだから富士見ミステリー文庫は…。