初野晴 「退出ゲーム」 (角川書店)
化学部の部室から盗まれてしまった”結晶”の行方。
パズル好きの少年が遺した白いルービックキューブ。
青春は謎でいっぱい……です?
部員数一桁・弱小の吹奏楽部に籍をおく1年生女子・穂村千夏が語り手を務める青春ミステリ。
文化系の部活にうちこむ高校生たちがワイワイやってるのがとても楽しい一作でありました。
雰囲気は米澤穂信「古典部シリーズ」や似鳥鶏「理由あって冬に出る」あたりに近いので、そのへん好きな人には超オススメ。
吹奏楽部を盛り立てていくための人材探し。その子が抱えてしまっている事情と解決…。
彼らの軽妙なやりとりにくすくす笑い、ミステリ部分になるほどと感心し、そこに描きだされる物語的な重みや切なさにじわりとさせられる。
収録されてる四話全部が面白かった!
特にお気に入りなのは「退出ゲーム」の愉快きわまる即興劇*1かな。
「エレファンツ・ブレス」も素晴らしい青春ミステリだと思う。
メインの2人以外も成島さん(眼鏡っ娘)とか演劇部の名越くんとか生徒会長の日野原くんとかキャラ立てが実に魅力的。
女子はもちろん、男子もかわいいんだよう。この作品。
千夏とその幼なじみ上条春太との微妙な三角関係の先行きも気になるし、草壁先生の秘密?もひっぱってるし、「2年生編」に期待。
- 作者: 初野晴
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/10/30
- メディア: 単行本
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*1:これ趣向としては「”文学少女”シリーズ」を彷彿とさせるよね。