早狩武志 「ハーフボイルド・ワンダーガール」 (一迅社文庫)

「俊紀くん……ちゃんと、責任とってくれるよね」 幼なじみからの突然の告白。
彼女は何故そんなことを言い出したのか? それが事実だとして、相手は一体誰なんだ?
 青春ミステリーなどと謳うには、読者には真相があからさますぎてまったくお話になりません! としか言い様がない作品なのだけど、
青春”寝取られ”小説としてはなかなかの逸品であると評価せざるをえない。
幼い頃からそれなりにいい雰囲気を保っていて、いつかは……と淡い想いを抱いていた女の子が知らない間に誰かとそういう関係になっていて、妊娠したあげく主人公に「責任とってね」だなんて!
物語の後半、美佳から打ち明けられることになる彼女の気持ちやら事情やらがいろんなところに刺さりまくって、もう大変。
うは〜、この”取り返しのつかない”感がたまりませんなー。
折角だからこのまま俊紀×美佳エンドでいいんじゃね? なんてのはさすがにライトノベル的に無しですか、そうですか。
まあ、幼なじみヒロインの非道っぷりに眉をひそめる心優しい読み手さんは佐倉井綾(正ヒロイン)の健やかなキャラクタとお色気に癒されるがよろしかろ。

ハーフボイルド・ワンダーガール (一迅社文庫)

ハーフボイルド・ワンダーガール (一迅社文庫)