フランク・シェッツィング 「深海のYrr(中)」 (ハヤカワ文庫NV)

新種のゴカイによるメタンハイドレードの浸食はついに大規模な海底地滑りを引き起こす。
未曾有の事態を収拾するべく各地から集った科学者・研究者たちにヨハンソンはある仮説を披露するのであった…。
 ヨーロッパ沿岸を襲う大災厄。なんというカタストロフィ。読んでてゾクゾクさせられっぱなしの前半戦クライマックスでありました。
上巻では傍若無人ぶりばかりが際立っていたジャック・オバノン(グレイウォルフ)の過去の複雑な内面が明らかにされ、
アナワクは自身の故郷──”魂の帰る場所”を取り戻していく展開がとても印象深い。
自然とともに在る生き方への憧憬と神秘。アナワクが旅のはてで見つけた”何か”。このへんの描写がすごい良かったなあ。
異変の元凶──Yrr(イール)と名付けられたそれの狙いは……。
うわぁ、そんな方向に話が転がっていっちゃうのかー。

深海のYrr 〈中〉  (ハヤカワ文庫 NV シ 25-2)

深海のYrr 〈中〉 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-2)