近藤史恵 「サクリファイス」 (新潮社)

自転車ロードレースの世界に身をおく”ぼく”──白石誓はツール・ド・ジャポンの出場メンバーに選ばれた。
その二日目、レース展開といくつかの偶然が重なり、誓は思いがけない結果を残す…。
 自ら勝利するために走る《エース》とそのサポートに徹する《アシスト》。
誰もがエースになれるわけではない。
賞賛、友情、羨望、嫉妬……複雑な想いを胸に秘めながらチームとしての勝利と自己の夢を追い続ける。
自転車にかけるアスリートたちの息づかいがきこえてくるような、青春スポーツ小説にして本格ミステリな一作。
アシストとして走ることに魅入られた主人公・誓。
才能ある若手選手・伊庭。
チームのエースとして長年活躍してきた石尾は「自分以外のエースを認めない、怖い人だ」と噂されている。
過去に起きた落車事故。一人の選手生命を奪ったそれは本当にただの事故だったのか、それとも?
…疑惑はやがて一つの悲劇を呼び寄せてしまう。
そして、すべてが明らかになったとき、重苦しい真実とともに浮かび上がる”人の想いの強さ”に心震える。
ああ、それでこのタイトルなんだ…。

サクリファイス

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