葉山透 「9S memories」 (電撃文庫)

本編以前のエピソードを三つ収録した短編集。
ADEMに就職したばかりの八代がNCT研究所にて由宇と初対面を果たしたときの話を描いた「夏の日の空になりたい」
まだ幼さを残しながらも、この頃にはすでに”由宇らしい”雰囲気を作ってるんだなあ。遺産の暴走を食い止めるのと引き換えに……ってのが実に切ない。
「Romantic holiday」は真目麻耶(十一歳)の可愛らしさと冒険に出かけたお嬢様のドキドキワクワクな様にやられるワタクシ。
遠藤淑子「狼には気をつけて」あたりを思い起こさせるような賢い少女と気弱な誘拐犯とのやり取りが楽しい。
「亜麻色の髪の娘」は本編のおよそ二十年前、クレールの母となる女性がヒロインの話。
本筋以外にも、若い頃の伊達とか、公に名を知られる前の峰島勇次郎の姿が興味深かった。
それから、クレールが新たに貰った名前って……どういうこと?

9S(ナインエス)memories (電撃文庫)

9S(ナインエス)memories (電撃文庫)