一柳凪 「みすてぃっく・あい」 (ガガガ文庫)

冬休みの寮。残った四人の少女たちは、食事をしたり、他愛もないおしゃべりをしたり、湖畔にピクニックをしに行ったり、そんな過ごし方をしていたが…。
 第1回小学館ライトノベル大賞《期待賞》作品。
虚数の庭」という奇妙な本をきっかけに起きる不思議なお話。
選ぶということを苦手にしているヒロイン・蝶子、無邪気な幼なじみ・せりか、高い知性と風変わりな趣味を併せ持つ三輪先輩、おっとり型の天然さん・沖本(部長)──そんな彼女たちだけの空間。
何気ない戯れの中に紛れ込んでいた違和感と不安。明らかにされる真実……。
主人公である蝶子の語り口と作品のまとう雰囲気がとても良い。
あの描写にはこんな意味があったのか!的な絵解きはミステリ嗜好をくすぐられるし、なにより百合と幻想ミステリーな取り合わせが善き哉、善き哉。
ただ、話の締め方は微妙だったかも。もうちょっと切ない気持ちに浸れるようなエピローグだったらなーともにょもにょ。

みすてぃっく・あい(ガガガ文庫 い 3-1)

みすてぃっく・あい(ガガガ文庫 い 3-1)