金庸 「碧血剣 一 復讐の金蛇剣」 (徳間文庫)

時代は明朝末期。
讒言により処刑された名将の遺児である袁承志(えんしょうし)は《神剣仙猿》こと穆人清(ぼくじんせい)に弟子入りし、修行にあけくれる少年時代を過ごしていた…。
 序盤から怒涛の如き展開を見せる「秘曲 笑傲江湖」や「侠客行」と比べると幾分地味な出だし。
だったのが、袁承志が江湖に足を踏み入れる中盤から面白さが一気に加速。
華山派の武芸、木桑道人(もくそうどうじん)直伝の軽功&暗器、さらに金蛇老君(きんじゃろうくん)が残した絶技まで身につけて、腕前はいきなり最強レベルですよ。
何人もの手練者を軽くあしらってしまう底知れぬ強さ。
物腰穏やかで品行方正なその態度は令狐冲(れいこちゅう)や石破天(せきはてん)とはまた一味違う英雄好漢っぷりでありますな。
亡き金蛇老君と温一族の因縁、温儀とのエピソードも非常に印象深かった。
あと、本作のヒロインも「笑傲江湖」の盈盈(えいえい)や儀琳(ぎりん)さんに匹敵する萌えキャラなのにニヤリ。
やー、袁承志には結構お似合いな娘じゃないかなー。くふふ。

碧血剣〈1〉復讐の金蛇剣 (徳間文庫)

碧血剣〈1〉復讐の金蛇剣 (徳間文庫)