スチュアート・ウッズ 「警察署長(下)」 (ハヤカワ文庫NV)

サニー・バッツは自らが引き起こした事件の決着を見ぬまま街から忽然と姿を消した…。
1961年、退役軍人のタッカー・ワッツがデラノの警察署長に就任する。
彼はアメリカ南部地方都市で初めての黒人の警察署長なのであった…。
 ジョージア州の田舎町デラノを舞台に、三人の警察署長を中心に語られてきた物語は1962年に幕を下ろす。
黒人差別を背景にした忌わしい事件の数々。傲慢な白人青年サニー・バッツの悪逆。
タッカー・ワッツを待ち受けていた困難と葛藤。政治の世界に身を投じたビリー・リーを取り巻く情勢…。
とても味わい深く、読み応えのある群像劇でありました。大傑作。
長きに渡って町に潜み、殺人を繰り返していた恐るべきサイコパスがついに……なクライマックスは心震わさずにはいられない。
ミステリー好きのみならず、桜庭一樹赤朽葉家の伝説」のような大河小説好きにもオススメな一作。
町とアメリカ社会の変遷を見守り続けたヒュー・ホームズがラストシーンを飾っているのがまた象徴的であることよ。

警察署長〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

警察署長〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)