山本弘 「MM9」 (東京創元社)

MM=Monster Magnitude(モンスター・マグニチュード)は怪獣の規模を表わす単位である。
人の生活圏に出現・襲来する怪獣たちに立ち向かえ!
怪獣災害の専門チーム”気象庁特異生物対策部”の活躍を描く本格怪獣(+SF)小説登場。
 こ、これは……。きっと、有川浩への山本弘からのカウンターに違いない。
海棲生物に植物型、飛行怪獣、果ては神話上の大怪獣(多頭竜)まで。
日本を襲うさまざまな怪獣たちの暴れっぷりとその対策に奔走する”気特対”の活躍がちょう面白かった!
 古今の怪獣映画や特撮もの、はたまたUMAや妖怪・伝承上の生き物をも作中に取り込み、
ビッグバン宇宙と神話宇宙なる二つの存在原理に理屈づけSF的な体裁を整えながら、
本編はあくまで怪獣を主役にしたエンターテインメント展開に徹するというバランスの良さ。
”気特対”のメンバーも良いキャラばかりで話をがっつり盛り上げてくれる。
こりゃーもう2007年のベスト候補にあげるしかない!
 あ、でも、第二話「危険! 少女逃亡中」に出てくる
人型怪獣*1には正直どういう顔をしていいのかわからないの(笑えばいいと思うよ)。
そういうツッコミどころもまた楽しさの一つではあるんだけど。

MM9

MM9

*1:全長20mの巨大な(一見して)少女。全裸で暴れ回ります。