金庸 「秘曲 笑傲江湖 六 妖人 東方不敗」 (徳間文庫)

ついに現れた日月神教教主・東方不敗(とうほうふはい)。その面妖な姿に一行は戸惑う…。
一方、五嶽剣派の併合を推し進めようとする左冷禅(されいぜん)の招きで各派の総帥が嵩山に会することになり…。
 いや、まさか、東方不敗がこんなキャラクタだったとは! 武術の深奥を極めるためとはいえ、そんな姿になってまで……と思っていたら、これが「ヘキ邪剣譜」の秘密にもつながっていって、噴いた。
奥義を目にしてしまったら他のすべてを喪ってでも会得せずにはいられない武術家の性。
「侠客行」シリーズでもそういうフシが盛り込まれていたけれど、求道とバカは紙一重だ。
東方不敗との戦慄の邂逅を終え、話が五嶽剣派の方にうつってからがまた凄い。
うわわわー、左冷禅がー、泰山派がー、霊珊(れいさん)がー、岳不羣(がくふぐん)がー。
意外な活躍をみせる人あり、無念の死を遂げる者あり、いよいよ本性があらわになる輩あり。
そんな中、軽口叩いて場をかき回してくれる桃谷六仙の愉快なキャラクタが光る。
令狐冲(れいこちゅう)が今回いつになくへたれていたのに若干の物足りなさもあるんだけど、今回もホント面白かった。
次で完結かー。楽しみなような、ちょっと寂しいような、複雑な気分。
それにしても、林平之、キミって奴は……。霊珊の気持ちを思うと切ないのう。


感想:一巻二巻三巻四巻五巻

秘曲 笑傲江湖〈6〉妖人 東方不敗 (徳間文庫)

秘曲 笑傲江湖〈6〉妖人 東方不敗 (徳間文庫)