似鳥鶏 「理由あって冬に出る」 (創元推理文庫)
芸術棟に出るという幽霊の噂。
吹奏楽部の部長さんに頼まれて、一緒に夜の校舎を確かめに行くことになった葉山君だったが…。
第16回鮎川哲也賞《佳作》受賞作。
文科系の部活動に精を出す学生たちの微妙にすっとぼけた掛け合いが魅力の学園ミステリ。
探偵役の伊神をはじめ、独特の間合いやキャラクタを備えた登場人物が多く、それを自然に受け入れてしまう主人公の鷹揚さとのんびりとした語り口が楽しい。
葉山君とつかず離れずの距離にいる柳瀬さんとのやり取りが微笑ましいんだ、これが。
ミステリ部分は幽霊騒動の真相を探るというもので、本格マニア的には他愛もないしろものではあるのだが、ライトでコミカルな味わいにコクを出すには十分な出来。
ディクスン・カー好きとしては密室状況の作り方に心くすぐられるものがあった。
表紙も善き哉。
- 作者: 似鳥鶏
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/10/31
- メディア: 文庫
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