佐藤大・編 「脳Rギュル ふかふかヘッドと少女ギゴク」 (ガガガ文庫)

宇宙からの怪電波によって脳髄を侵された人間──脳R(ノアール)を追って特急ふじ号に乗り込んだギヤマは…。
「十八時の音楽浴」に続く《跳訳》シリーズは夢野久作「人間レコード」「少女地獄」を底本にした活劇もの。
戦前昭和の風俗を色濃く残した”改編”ニホンな世界観が見所な一冊。
脳R抹殺を目的とする青年・ギヤマのパートはハードボイルド風味で読ませる。
もう一人の主人公、女子高生シィのパートは恋と友情な物語で、こちらは”萌え”担当か。
相棒とはいいながらすれ違ってばかりのシィとギヤマ。もう少しこの二人の絡むところを見たかった。
それなりに読み応えのある作品ではある。
が、《跳訳》ならではの奇想が味わえたかというと、やや期待外れと言わざるをえないかなあ。
「十八時の音楽浴」と比べ、普通のライトノベルになりすぎている感あり。

脳Rギュル ふかふかヘッドと少女ギゴク (ガガガ文庫)

脳Rギュル ふかふかヘッドと少女ギゴク (ガガガ文庫)