霧舎巧 「新本格もどき」 (カッパノベルス)

事件に巻き込まれると”あの推理小説の”名探偵になりきってしまう吉田さん。
ミステリ仲間のカレー屋のマスター、看護師の上岡エリを引き連れて難事件をたちまち解決!?
 都筑道夫「名探偵もどき」*1新本格版。
「三、四、五角館の殺人」「人形は密室で推理する」「双頭の小悪魔」というタイトルを見て興味をそそられるミステリ者は読みねえ読みねえ。
事件の話を聞いているうちに名探偵に変身した吉田さん、急にカレー屋のマスターをお父さんと呼びはじめたり、パペット片手に腹話術をしてみたり、先輩風をふかせてみたり…。
下敷きになった作品がほとんど既読だった*2こともあって、作品の随所に仕掛けられたくすぐりを存分に楽しむことが出来た。
特に面白かったのは、『館』シリーズをもどいた上、メフィスト賞出身の作家をモデルにしたと思しきキャラクタまで登場させるネタ大盤振る舞いの「三、四、五角館の殺人」。
作中作である「五角館の殺人」(石黒研幸・作)には何と女子高生二人組まで出てくるのだ。石崎幸二ファン感涙!
トリッキーな仕掛けで読ませる「13人目の看護師」も面白かったー。
霧舎巧ファンのみならず初期の新本格を愛する多くのミステリファンにオススメ。

新本格もどき (カッパ・ノベルス)

新本格もどき (カッパ・ノベルス)

*1:推理小説好きの男がホームズやポワロになりきって推理するという趣向の作品らしい。未読。

*2:未読は法月さんの「一の悲劇」「二の悲劇」くらい