雨木シュウスケ 「鋼殻のレギオス」 (富士見ファンタジア文庫)

園都市ツェルニにやってきた新入生レイフォンは、捨てるはずだった道──武芸の腕を見込まれ、第17小隊に参加することに…。
 自律型移動都市(レギオス)の上で生きる人々。都市の存亡をかけた武芸大会。そして、汚染獣の脅威。生きていくのに命がけにならざるをえない厳しい世界。
物語のトーンも全体的に重苦しく、主人公のレイフォンをはじめとして迷い悩む登場人物が多い中、明るさ楽しさを一手に引き受ける三人娘の存在感が良い良い。
隊長さん(ニーナ)やフェリともこういう雰囲気になっていけばいいな。
強靭な力を得たものの自らの立ち位置を見失っているレイフォン。そんな彼のどうにも煮え切らない態度が読んでてはがゆいこと。
天分に恵まれすぎて武芸の上達に心の成長が追いついていなかったことが招いた過去の悲劇。
新たな土地、新たな出逢いの中で少年がどう変わっていくのか、やり直していくのか。ビルドゥングスロマンな展開に期待したい。
ちなみに一冊目の時点ではまだこれといってお気に入りのキャラは無し。しいて挙げるならミィフィなんだけど、どうも続刊では出番が減っていきそうな予感が。

鋼殻のレギオス (富士見ファンタジア文庫)

鋼殻のレギオス (富士見ファンタジア文庫)