中村九郎 「神様の悪魔か少年」 (富士見書房 Style-F)

幼い頃に犯した”母殺し”の罪。
逃げ切るために《悪童》が差し出す贖罪の羊──トモダチ? 恋? 摂政? 時効まではあと何日?
 地方の街を舞台にした青春ノワール
少年少女の鬱屈を描いている点、その恋愛模様が作品に彩りを添えている点など、普通に”青春もの”としてのカタチを為している部分もあるにはあるのだが、やはりそこは中村九郎
時折放たれるKUROU節の弾丸に腰は砕け。
地方行政に目を向けたかと思えば「摂政しよう」などという奇妙な理屈を謳いはじめる展開に困惑せずにはいられない。
自らを悪童だと嘯く少年が発する悪意は捩れた結果を生み出し、捩れはさらなる捩れを呼び、やがて少年の見ていた世界はあっけなく変容してしまう。
…まったく何てどんでん返し。
傑作だとの呼び声も高いけれど、そこまで面白かったかどうか読み終わった今でも正直よくわからない。
でも、佐村井恵を可愛いかもしれぬと思ってしまった時点で敗北だーね。
ちなみに「ロクメンダイス、」が100%中村九郎(以下、KUROU)だとすると、「黒白キューピッド」が80KUROU、「アリフレロ」は90で「樹海人魚」は30。本作は50KUROUくらいと見た。

神様の悪魔か少年 (Style‐F)

神様の悪魔か少年 (Style‐F)